【獣】


WRITTEN BY SHIORI and KOUJI

彼は初めに創られた存在、神に似せられて作られた土くれ

すなわち、純粋なるもの

すなわち、生まれたままの魂



彼は時間という概念が無くなるほど昔から見つめていた

美しき星を覆う巨大な夜が立ち現われるのを

恵みたる太陽と安らぎたる月と希望たる星の光が世界よりも大きな雲に遮られるのを

地球を食い尽くすリリンという名の、幾千の欲望を持つ怪物を・・・

「・・・アダム・・・」

「・・・リリスか!?」

「・・・約束のものを渡しに来たの・・・」

(好きよアダム・・・大好き・・・大好き・・・)

「これがあたしの 気持ち・・・受け取って・・・これが約束の」



「・・・あたしの魂・・・」

「何を言っている!お前の気持ちなんていらない!約束なんてしてないぞ!そんな!・・・そんなの興味ない!」

「・・・アダム・・・」

「リリス・・・・・オレにどうしろって言うんだ?・・・」

「・・・持っていて・・・必ず、あなたの力になる・・・いつもそばに置いてね・・・」

「・・・リリス!!お前・・・死んだんだな・・・肉体は誰にくれてやった?」

「・・・力を持った肉体はリリンに・・・」

「リリン!? ばかなっ!!」

「・・・あの子達は・・・生まれたときから・・・自分達の醜い心のこと・・・気にしていたから・・・あたしの心が・・綺麗だと・・いつも言ってたから・・」



「・・・あげたの・・・」

「愚かな・・・リリンの汚れは産み落としたお前の罪によるもの・・・そしてその汚れを払えないリリンは醜くて当たり前なのだ!」

「・・・命を奪い生きていることを忘れ、億万の命の住む星を奪い尽くした」

「・・・じきに使徒が降り立つ」



「滅びこそ汚れた罪人に相応しいのだ!!」



「・・・アダム・・・」

「お願い・・・子供達を憎まないで・・・あの子達の命には限りがあるの・・・だから罪を犯しても悔いる時間がないの・・・」

「後悔と反省を繰り返し、幾千の月日が流れても、リリン達に限りない命が与えられることはない・・・今まで見逃していたことが間違いだった・・・」



「聞け!踏みにじられた幾億の魂達の声を!」

「未来を託す子供達でさえ自らの欲望の餌食にする者達の笑い声を!」

「・・・彼らの過去も、現在も、そして未来も」

「償い切れぬ程の罪で溢れている」

「・・・寛容の心こそ始まりの存在たる、私達だけの力・・・・・・彼らを許して上げて、彼らは必死で救われようとしているのだから・・・」

「・・・リリス・・・もう遅い・・・彼らには自らの罪を省みることが出来ない・・・悪を悪として知っていながら染まる罪・・・」



「彼らの魂はあまりにも不完全で・・・」


「そして、壊れている」



「子供達・・・生きて・・・」



裁きを司る者達の手で、地球の門が開かれる

不幸の、苦しみの、悲しみの、そして全ての終わり

魂の救済たる、最後の審判が始まる

全ての汚れを纏う者達が地に打ち伏し、許しを請う日

足下に見えるあの小さな星とそこに棲むリリン達への

贖罪の角笛が鳴り響く・・・


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