「− 女神達の降臨 −」
WRITTEN BY はぎわり&kouji
なぜか周りの方が慌ただしい葬式が終わった後、僕はぼんやりしていた。
なんでこんなに慌てているんだろう?みんな悲しいのは僕なのに・・・
一応喪主としての仕事を終えた後、最も親しい友人だけが残っていた。いや、残ってくれたと言うところか・・・
「・・・しかし突然だったなぁ・・・」
沈黙を破ってケンスケがつぶやく。
「・・・ああ・・・」
それに相槌を打つようにトウジが答える。
・・・それからまた深い沈黙が続いた。
みんな僕のことを気遣ってくれているらしく、何も口にしようとしない。
妻が急な病で天国に行った。僕はあまりの悲しみに、涙も、声もかれ、かえって冷静だった。
「・・・あ、あの・・・」
この深い沈黙を破ったのは他ならない僕だった。
「・・・き、今日はどうもありがとう。みんな忙しいのに・・・」
「友達として当然だろ」
とケンスケ。
「そや、一人にしたらかわいそうやろ・・・」
トウジも同情してくれた。彼らとは中学、高校と一緒だった友人達だ。
あのサードインパクトから20年の月日が経っていても友情が変わることはない。
「あの、ところでトウジの奥さんは?」
妻とは大親友である彼の奥さんが来ていなかったので尋ねる。
「ああ、ヒカリなら仕事でアメリカに行っとる」
「ヒカリもさよならを言いたかっただろうに・・・」
ケンスケが同情する。
・・・またしばらく沈黙が続く。
「・・・ところで、僕の娘の話はしたっけ・・・」
「そうそう、娘さんは・・・」
そこまで言ってケンスケは口ごもってしまった。
きっと僕のことを察してくれたのだろう。
「そのことを話そうと思うんだ」
「・・・是非聞かせて欲しい」
ケンスケが口に出していったが、きっとトウジも同じ気持ちなのだろう。
僕は少しためらったが、少しずつ、語り始めた・・・
「・・・そう、あれは今日みたいに月のきれいな日だった・・・」
ベランダの方を見つめるときれいな満月が僕たちのことを覗いていた。
「僕もトウジも入院したことのある、あの病院に向かった」
「・・・でも昔、彼女を見舞いに行ったときのような・・・
・・・暗い気持ちじゃなく、むしろ胸を弾ませて病院に向かっていた」
そう、そのときのことは今でもはっきり思い出せる。
「・・・何と言っても、最愛の娘が産まれたんだからね」
電話は仕事場で受けたのだが、その時はうれしさのあまり会社を飛び出していた。
「病室に通されると、妻は産まれたばかりの赤ん坊と一緒に寝ていた・・・」
病室の中はなぜか暗かった。
「・・・シンジ・・・」
僕が顔をのぞき込むと、病室の暗さを象徴するかのような声で、妻は僕に
語りかけてきた。何で妻が喜ばしいことなのに暗いのかが分からなかった。
「・・・名前、決めてきてくれた?」
妻の手を握ると、妻は反対の手で僕の髪をやさしく掻き上げながらたずねてきた。
「もちろんだよ!」
喜びのあまり大声になってしまう。
「しっ、まだ寝ているんだから・・・」
やさしく人差し指を僕の唇に当てた。
「で、娘は?」
「・・・・・・・・」
妻は何も答えなかった。
どうやら奥にいるらしい。
・・・まだ名前のプレートが入っていない小さなかごに、娘は入っていた。
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はっきり言ってショックだった。
そう・・・赤ん坊には産毛が生えていた・・・
月明かりに照らされてシルバーに輝いている・・・青色
そして、微かに見える赤ん坊の目は・・・ルビーのように輝く赤色だった。
「・・・で、赤ん坊の名前は決めたてきたんでしょうね?シンジ」
少しやつれた顔の妻が聞いてくる。昔ベッドにいた姿とは似てもにつかないほど生命力に溢れているが
「・・・・・・」
再び顔をのぞき込んだが、僕は妻になんて言ってあげたらいいのだろうか。
昔、僕達がゼーレエヴァと戦ったとき空に消えた存在。そして負傷の激しかった妻はその装置に入った。
ダミーシステム。こんな副作用があったとは・・・それでも・・・
・・・・・・そうか、彼女は還ってきたんだ・・・・・・
僕は彼女の分まで娘を幸せにしようと心に誓った。意を決して妻に娘の名前を告げる。
「・・そうだね・・・名前は、レ・・・」
そこまで言わないうちに妻が僕の首に手を回して・・唇を重ねた。
「シンジ・・・・」
その時、妻であるアスカの頬に一筋に涙があったことを僕は忘れない。
ただ、それが嬉しさ故か、悲しさ故なのか僕には解らなかった。
そして今娘は14歳。あの時の彼女と同じ姿でいる。
葬式の最中、泣きはらした瞳はもっと紅くなり、
そして悲しみに堪えた声はあの時の彼女にはなかった感情を見せる。
あの時の彼女はもういない・・・だけど娘だけは幸せにしてやりたい。
彼女が味わえなかった分まで・・・・
---THE END---
この話が分からない人もいるでしょう。
つまり補完後の世界のお話です。映画のラストが気に入らない人も
続編だと思って読んでください。