『暗闇』


WRITTEN BY ルーシェ




・・・生けとし生きるものが恐怖を感じあらゆる手段を用い排除しようと試みたもの−−

その帳が落ちればすべては黒く染まる・・

物語はその中でやはり恐怖の幕を開ける。



ザシュッ

「ぐっ、なぜ・・貴様が・・」

「それは・・・あなたの心に聞いてください・・・
 そう、もう滅び行くあなたの心に・・・」

場所は豪奢な部屋。
あらゆる調度品を掻き集め、品性などかけらも感じさせない。

その中に黒ずくめのスリムな男・・と、もう死の色が濃い太めの男。

「このままではすまんぞ・・きっといつか・・」

「もう・・すべては遅いのです・・
 あなたの立てた計画には穴が空きすぎている・・
 それを修正するのは容易ではありません。
 あなたはそれを償う必要がある・・・死を以て。」

「・・・・・」

「・・・屍は語らず・・か・・」

そこは暗闇・・すべてを飲み込み・・・すべてを葬り去るもの・・


時は1999年、日本の東京都での出来事だった・・


「昨夜未明、東邸で行われたと想われる惨殺事件の解明に東都大学から  犯罪心理学科の迫田教授に起こし願いました。
 どうぞ、よろしくお願いします。」

「おねがいします。」

「で、迫田教授、犯人について警察から何か出てきたのでしょうか?」

「いえ、まだ警察はなにもいってきませんね。」

俺は千葉 哲也。
18歳の東都大学 心理学科の一回生。
TVでうちの教授が呼ばれてる。
くだらない。
趣味は機械弄り、マンウォッチング等というありふれた物。

だが、性格は今では珍しくもない二重人格のためかなり危うい。

「てっちゃ〜ん!学校いくよ〜!」

時間は・・・昼の2時。
大学生ってのはんなものだろう。

「うるさいぞ!かすみ!」

外で叫んでいるのは松田 かすみ。
学部は違うが同じ大学の一回生。
幼なじみでもあり、俺のもう一つの人格が惚れてる人物でもある。

・・・まぁ、『あいつ』が惚れるという感情を持ってたことが意外だが・・

ということで『あいつ』とかすみは恋人同士である。

俺はといえば・・・もう一人・・俺の人格を愛してくれる女性がいる。

・・いや居たと言えばいいのだろうか・・正確な表現は。

もう他の女性を愛する自信もないし、なによりかすみがまとわりついてるせいで 他の女性に接触する機会もない。

「だって、おそいじゃん!
 講義に遅れちゃうよ!」

「わかったわかった。
 今行くから待ってろ!」

ドタドタドタ

おざなりに走りながら玄関に向かう。

別に身だしなみに気を付ける性格でもないので髪を少しとくくらいにする。

ガチャ

「またせたな。
 行くか。」

「うん!
 たっちゃんは元気?」

水石 拓也。
俺のもう一つの人格。
なぜか、名字も性格も・・・そして身体特徴も多少異なってしまう。
これが一番の謎だ・・
そして、俺が主人格のおかげで他人にはあまり知られてないのが
拓也の怜悧冷徹、残忍かつ非情な性格。
前述した『惚れる』という感情を持ったことが奇跡というのを伺わせる。

「なんだ?
 拓也に会いたいのか?」

「いや・・別にそんなんじゃないけどさ〜」

「ハハ、我慢するな。
 今変わってやるから。」

「え〜!いいよ〜!」

「遠慮するな。
 んじゃ、ちょっと変わるから静かにしてろよ。」

「ちょっと〜!」

精神を集中し始める。
なにかかすみがいってるようだがもう既に夢うつつ。
自分の中の何かに話しかける。
そして・・・

俺は静かに目を開ける・・

「ちょっと、哲也・・?」

「なんだ・・かすみか・・」

「・・たくや・・なの?」

「ああ。」

「あ、その、なんていうか・・・おはよう・・」

「ああ。」

「久しぶりだね、この前逢ったのいつだっけ?」

「そうだな、一週間前くらいか。」

「寂しかった・・・バカ・・」

「そうか・・すまなかった。」

といってかすみの顎を引き寄せ唇を重ねる。

「!!!!?」

かすみは少し驚いたようだがすぐに目を閉じて恍惚に身を委ねる。

「・・・ふぅ。
 もう、いきなりなんだもん。」

「すまん。」

「良いよ・・謝らなくて・・」

「そうか。」

「うん。」

しばらくの沈黙。

「じゃ、またな。」

「え?もう帰っちゃうの?」

哲也の時より少し背の高くなった拓也を上目遣いで見上げるかすみ。

「ああ、俺は昼は苦手だ。」

「それって夜ならって事・・?」

「??あ、まぁ、そんなとこだろう。」

「そうなの・・・拓也のエッチ!きゃっ!」

<うれしはずかしはないちもんめ状態。>

「何を想像してるのかしらんが・・・とりあえずまた逢おう。」

「うん。」

<拓也は静かに目を閉じ、またしばらくして目を開けた。>

「ふぅ。
 どうだ?ハッピーおじょうさん。
 楽しんだか?」

「な、なによぉ。
 別に浮かれてるわけじゃないんだから!」

「そうか、思い切り浮ついてたと想うけどな。」

「そんなことありません!」

「そうか、なら拓也の報告しておこうか。
 かすみがおまえと会っても楽しくなかったそうだ、ってな。」

「え〜ん、私が悪うございましたぁ!」

「うむ、判ればよろしい。」

「ふみぃ、でも、何で拓也との会話知ってるのよぉ。」

「あらら?知ってると想ったけど?
 おれ、主人格だから副人格の記憶は共有するんだよ。」

「え・・・それって・・・」

「まぁ、何考えてるか知らないが、おまえたちがXXXなことや○△□なことを  やったとすれば、ぜぇんぶ、筒抜けって事。」

「・・・(ボッ)・・」

顔を真っ赤にするかすみ。

「おい・・おまえ何考えてたんだ。」

その問いにかすみは強く首を振るだけ。

「ったく、しょうがないやつだ。」

<そういや、おまいら。大学はどうした?>


時は昼の3時を回っていた・・・

つづく







<あとがき>
とりあえず、EVA小説にでもしようかなぁ、と思ったけど やっぱ他人の作ったキャラだとどうも動かしにくいのでオリジナル。
いつか書ければ楽しいんだろうけど。

とりあえず、作中で<>が出たら作者のナレータですので。
この作品も俺の作った小説のご多分に漏れず一人称です。(笑)
でも、情景描写のため少し逃げました。

では、次回いつになるか判らないけどまた会える日まで(笑)