『本当の自分』
もしあの時、シンジと喧嘩しなければ。
もしあの時、公園によらなければ。
アタシは一生これに気付かなかったかもしれない。
しかし、アタシは気付いてしまった。そう、もう一人の自分に。
「ふん、シンジの馬鹿」
その日のアタシの気分は最低だった。幼馴染のシンジと些細なことで喧嘩してしまったからだ。
喧嘩はたぶん、ううん、絶対アタシが悪いのはわかっていた。だけど、言い争ううちに、日ごろのどうしようのない気持ち。日増しに募ってくる気持ちの反動で、歯止めが効かなくなってしまっていた。
(どうして、アイツはアタシの気持ちに気付かないの?
どうして、他の女の子にも優しいの?
ねぇ。お願いだからアタシだけを見て! アタシだけに優しくして!!)
どうしようもない独占欲。
アタシは、心の中で悲鳴を上げていた。
気が付くと、シンジを平手で叩いていた。
後悔。
だけど素直でないアタシは、シンジに謝らずに、そのまま新体操部の部活もサボって学校を飛び出した。
(来てくれるかな。ううん、絶対来てくれるわ)
アタシはシンジが追いかけてきてくれることを、見つけてくれることを期待して、思い出のある公園のベンチに座っていた。
しかし、待てども待てどもシンジは来てくれなかった。
日が沈もうとしていた。周囲は夕暮れで真っ赤になっていた。
(どうしてよ。どうしてきてくれないのよ、シンジ!!)
やるせない気持ちになったアタシは、足元にころがっている空缶を思いっきり蹴飛ばした。
カーン。 カッコーン。
「痛え! 誰だ! こんなん投げつけてくれたんわ!!」
野太い罵声。アタシが蹴飛ばした缶に誰かが当たったようだ。
アタシは、いつもの様に強気にならずに、思わず近くの茂みに隠れてしまった。
その選択は正しかった。茶髪のヤンキーが2、3人。誰かを探すようにやって来たからだ。
(あたりに人はいないし、まずいわね)
そう考えたアタシは、見付からないで公園を出るため、うっそうと繁った森に入っていった。
ザッザッザッ
暗くて、人気がなくて、アベックが好きそうな所だと思った。
コツッ
何かが足に当たった。
何だろうと足元を見ると、本だった。
好奇心から手に持って表紙を見ると、エロ本だった。しかも、裸できれいな女性が、アソコを丸出しで縛られているというやらしいものだった。
「な、なによこれ」
アタシだって年頃だから、友達とSEXのことなんかを話すことがある。
だから、これがSMというものだとはすぐにわかった。だけど、こうした本なんかを見るのは初めてのことだった。
カタカタカタッ
本を持った手がふるえていた。歯の根があわない。体全体が、なんか妖しい感覚に囚われている。
そう、この時すでにアタシは囚われていたのかもしれなかった。だが、残っていた理性がこれを捨てるべきだと頑強に抵抗した。
捨てる。捨てない。捨てる。捨てない。捨てる。捨てない。
葛藤が長く続いた。
やがて、強靭なアタシの理性が何とか勝利を納めようとしたとした。その時、後ろで声がした。
「オーイ。こっちの森の方は調べたか?」
ビクッ
アタシは、何か悪いことをして見つかった幼子のように、その声に過剰に反応した。
動揺しまったアタシは、思わず本を鞄で隠して、見つからない様に公園を走って抜け出した。
後に思えば、これは、運命が本当のアタシに気付かせるために仕組んだゲームだったのかもしれない。
そしてアタシは、これにずぶずぶとはまり込んでしまっていた。
くぅ・・文章を書くのは難しい・・。
ですが、がんばって書いていこうと思います。