『本性』



WRITTEN BY ベリアル






 

 

「バカシンジのくせにあたしに逆らうからよ!!」

アスカはそう怒鳴ると自分の部屋に入っていった。

リビングには顔に手形をつけたシンジが倒れていが、軽く頭を振ると立ちあがった。

「今日も手加減なしか…」

シンジはそう呟くと食器の後片付けを始めた。

三十分後、後片付けが終わった。いつもより時間が掛かっている。

「そろそろ我慢の限界だな…予定より早いけど始めようか…」

シンジは手をタオルでふきながら、そう呟くと自室に入りバックの中から携帯を出した。

シンジは手馴れた手つきで番号を押していき、暫らくすると相手がでた。

「あ、マスターお久しぶりです。

 そうですね。

 ええ、元気にやってますよ。

 ところで、いつもの調味料を手に入れたいですけど…

 ええ、いい素材が手に入ったんです。

 今の住所は第三東京の……………

 お金はいつもの支払い方法でいいですね?

 それでは、失礼します。」

ピッ 

シンジは携帯を切ると、今度は短縮を押す。

「あ、ケンスケ? 碇だけどお願いがあるんだけど。

 ビデオカメラを貸してほしいんだ。

 え、うん、ちょっと撮りたいものがね。

 それは秘密だよ。ケンスケも人には言えない写真を撮っているだろ。

 うん、明日、学校で。

 じゃあ、お休み。」

ピッ

シンジは携帯を切ると、ベットに寝転がった。

「さてと、あとはチャンスを待つだけだな…」

 

 

―三日後―

「え、今日は帰れないんですか?」

朝食の準備の終わったシンジはエプロンを脱ぎながらミサトに聞き返した。

「ええ、本部に当直なの。帰るのは明日の夜になるわ。」

ミサトは冷蔵庫からエビチュウをだしながら答えた。

「そうですか。」

朝からビールを飲むミサトを冷めた顔で見ていたが、次のミサトのセリフにシンジは慌てた。

「シンちゃん、今晩はアスカと二人っきりだけど、襲っちゃだめよん。」

「ミ、ミサトさん」

「こいつにそんな度胸あるわけないでしょ。ねーシンちゃん。」

二人の会話を聞いていたアスカが軽い調子で言う。

「ア、アスカ、そんなことより早くご飯食べないと、遅刻しちゃうよ。」

この話題を終わらせたいシンジはそう言うと、さっさと朝食を食べ始めた。

「あんたに言われなくてもわかってるわよ。」

 

そして、いつもと同じ日常がはじまり、いつもと変わり無く夜を迎えた。

 

「ねーバカシンジー、ご飯まだー?」

クッションを下に引き寝そべってテレビを観ていたアスカはキッチンの方に大声で言う。

「アスカ、僕はバカシンジじゃないよ。」

アスカはいつもと違うシンジの反応に違和感を感じたがあまり気にしなかった。

「バカシンジはバカシンジよ、それよりご飯はー?」

「アスカが僕のことをちゃんと呼んだら作ってあげるよ。」

ここで言うとおりにしたら、ますますシンジがつけあがる、と思ったあすかは怒鳴った。

「あんたは黙ってあたしの言うことを聞いとけばいいのよ!」

アスカはいつもと同じように、文句を言いながらも自分に従うと思っていた。

しかし、帰ってきた声は、今までのシンジでは考えられない言葉がだった。

「今日の朝まではそうだったけど、これからはアスカが僕の言うことを聞かないといけないんだよ。」

「はぁ? あんた、またミサトか鈴原あたりに変なこと吹き込まれたの?」

「ミサトさんやトウジ、ケンスケは関係ないよ。さっきの言ったことは僕が決めたんだ。」

「じゃあ、あたしはシンジを教育することを決めたわ。」

そう大声で言うとアスカはシンジのいるキッチンに向かった。

 

 

アスカがキッチンに入ってくると甘い香りがした。

「なによ、もう出来てるじゃない!」

イスに座っているシンジに言う。

「まだ、下準備の途中だよ。」

シンジがいつもと同じ口調だったので、アスカは自分がバカにされているような気がした。

「ところで、あんたさっきのコト忘れてないでしょうね。いまさら謝っても遅いわよ!」

今までは、アスカが強気にでると必ずと言っていいほど、シンジは言い訳をしながら謝るパターンが多かった。

過去の経験から、そのことを知っていたアスカはアスカはてっきりシンジは謝るものだと思いそう言った。

 

「なんで僕がアスカになんかに謝らなければいけないの? 今までの事を謝るのはアスカのほうだよ。」

シンジはイスから立ち上がる。

それを聞いたアスカは、無理やり笑顔を作ると。

「へぇーバカシンジの癖に言うじゃない。ご褒美あげるわ!」

言い終えると同時にアスカの右手がシンジの顔に向かっていった。

「えっ!?」

アスカの掌はシンジの顔に当たることはなかった。

右手の手首をシンジの左手が掴んでいた。

アスカは今まで抵抗したことのなかったシンジが、始めて抵抗したことに一瞬驚いたが、すぐにシンジを睨む。

「バカシンジ、あたしに逆らうとはいい度胸ね。覚悟は出来てるでしょうね。」

「いいよ、本気をだしても。今日は僕も真面目にアスカの相手をするから。」

今度こそ謝ると思っていただけに、アスカはキレた。

次の瞬間、アスカの右膝がシンジの股間目掛けて上がっていった。

「なっ!?」

シンジが床に這いつくばる姿を想像した一撃であったが、想像どうりにはならなかった。

シンジは右手でアスカの膝を股間の直前で止めていた。

(完璧に死角になっていたのに…)

絶対に決まると思っていたアスカは、唖然としていたがシンジの声で気を取り戻す。

「今のは危なかったよ。いきなり股間を蹴ってきたのは、アスカが二人目だ。」

アスカはシンジの顔を見て驚いた。

何時の間にか、シンジの顔はいつもの自信のない弱々しい顔ではなく、自信と余裕を感じさせる笑みを浮かべていた。まるで加持リョウジのように・・・

「なに、笑ってんのよ!」

アスカはシンジの顔に左のパンチを放つが、シンジは掴んでいた右手を放して後ろにさがり避けた。

アスカは続けざまに2撃、3撃とコンビネーションで放つが、シンジは笑みを浮かべたまま、軽々とさばく。

あの状態からコンビネーションを防がれたアスカは、シンジの攻撃を警戒し距離をとる。

「シ、シンジの癖にやるじゃない。」

強がりを言おうとしたが声に、いつもの余裕はなかった。

「それじゃ今度は僕からいくね。」

言葉の軽さと裏腹に、シンジの眼は笑っているどころか、殺気がこもって見えた。

(や、やられる。)

アスカはシンジがこっちに歩きだす瞬間に一気に間合いを詰め、シンジの顔に全身のバネを使った突きを放つ。

スピード、タイミング共に最高だった。アスカは当たることを確信した。

拳が当たる直前シンジの顔が後ろにさがる、よく見るとシンジは後転をしている。その瞬間、アスカの前髪をシンジの右足がかすめた。

シンジは後転の回転で右足を突き上げていたのだ。

アスカは背筋に悪寒が走り、顔が青ざめた。

シンジはまるで軽業師のように着地していた。

「ごめんアスカ、もう少しで顔を蹴るところだったよ。ごめんね、いつもの癖でつい・・・。」

シンジはいつもの情けない顔で言った。

アスカは呟くように言葉をだす。

「あんた、本当にシンジなの?」

それを聞いたシンジは、いつもの子供ような無邪気な笑みを浮かべた。

「そうだよ、これが本当の僕なんだ。」

心の何処かで予想していた答えが返ってきたが、アスカは信じたくなかった。

「ウソよ、信じられないわ。じゃあ、な・・」

「なんで、いつもは鈍いの?、かい。それは、僕がワザとそう演じているからだよ。」

シンジの言葉を聞いたアスカは驚く。

「なんで、って顔だね。まぁ、アスカには分からないだろうな。」

「なら、さっさと説明しなさいよ。」

シンジに主導権を握られているのは気に食わなっかたが、シンジがなぜ自分を偽っているか知りたかった。

「アスカは経験したことが、いや今もしているだろう。自分の才能を他人に見せるほど、他人から期待・嫉妬される。」

「それはしかたのないことよ。いえ、むしろいい事だわ。能力が認められている証拠よ。」

アスカは当然のように言う。

「アスカらしい考え方だね。しかし、他人より優れていれば嫌でも目立ち、他人に巻き込まれるようになる。 酷い時は人生を滅茶苦茶にされる。過去にもそんな人は大勢いた。アスカもその中の一人のような気がするよ。」

「余計なお世話よ、それより答えを聞いてないわよ。」

自分の生き方を否定されたみたいだったがアスカは、シンジの答えが知りたかった。

「あ、話が脱線したね、僕の人生の目的は平穏に暮らすこと。他人と争い、期待に応え、嫉妬に耐える。そんな重圧…いや精神的苦痛を味わうのが嫌なんだ。」

シンジの答えにアスカは納得できなかった。

「じゃあ、なんであたしに本性を見せたの?あんたの主義に反するじゃないの?」

「僕も人間だよ、自分より劣っている他人に、バカにされ続けばストレスがたまる。」

「あたしの何処があんたに劣っているのよ!」

アスカの目に、また炎が宿る。しかし、シンジは気にせず平然と答える。

「少なくとも、精神年齢、格闘センス、男女の経験かな。」

それを聞いたアスカはまたパンチを放つが、明らかにスピードが落ちていた。

シンジは難なくアスカのパンチを止める。

「え、な・なんで…」

アスカは自分の身体に意識を向ける。

「な、なにこれ・・・」

自分の異変に気付いた。 さっきシンジと格闘をしたから、身体が温まっていたと思っていたがそうではなかった。

身体の中心、いや、下半身から熱を発している感じがする。

アスカの身体の異変を感じとると、一瞬父親と同じ笑みが浮かんだが、いつもの笑みを浮かべる。

「どうしたんだい?アスカ。どうやら時間もないみたいだから、さっきの質問の答えは言うよ。」

父親と同じ笑みが浮かんだのを見たアスカはあとずさる。

「溜まったストレスを発散させるために、今までの仕返しをするのが効果的なんだ。いつも、僕をバカにする人物にね。」

そう言いながらアスカに近づいていく。

「ち、近づかないで・・」

シンジに捕まること意識したとたん、一気に身体が熱くなり、身体に力が入らなくなる。

吐く息も、熱を帯びてくる。

「そして、ストレス発散だけでなく、快感を感じることに気付いた。それも、日頃バカにされた分だけ快楽も増大する。この意味が分かるかい。」

アスカの肩にシンジの手が伸びてくる。

「あ、いや…」

アスカはシンジから逃げようと背を向けた瞬間、シンジの手が後ろから肩に触れる。

シンジの手が触れた瞬間、アスカの身体がビクッと振るえる。

「は、はなして・・」

自分の身体が異常に感覚が敏感なのに驚く。

「好きな食べ物を食べるのと同じなんだ。 嫌いなものを食べ、我慢し空腹になればなるほど、それを食べた時のおいしさは増す。」

シンジはアスカの腰に左手を回し、身体を引き寄せる。

「あ・・」

アスカは驚くほど簡単にシンジの身体と密着する。

「どうやら、料理が完成したみたいだね。 それじゃ、食事を始めようか。」

シンジは右手でアスカの顔を自分の顔の方に向け、顔を近づける。

「やめ・・・ん」

シンジの意図を悟ったアスカは拒絶の声を出そうとしたが、シンジの唇で止められた。

アスカの眼が見開かれる。

二人の唇の間から湿った音が漏れる。

「ぁ・・・・・んっ・・・・ぁああ・・・う・・ん・・・・」

アスカの足が震えだし、しばらくすると急に力を失いシンジにもたれ掛かる。

「ん・・ぁ・・ぃ・・・・はぁ・・」

二人の顔が離れる。 二人は透明な糸の橋で繋がっていたが、距離が離れると切れた。

(ちくしょう、こんな奴に・・・)

アスカはシンジを睨む。しかし、シンジを喜ばせるだけだった。

「そう、その眼を見たかったんだ。 これから、アスカがどんなに強がっても女だってことを教えてあげるよ。君がいつもバカにしていた僕がね。」

シンジは笑みを浮かべ、アスカをベットにつれていく。

アスカはシンジに逆らおうとするが、先ほどのキスで下半身に力が入らない。

「ひ、卑怯よ。 変な薬まで使って・・・」

「大事なのは手段ではなく、結果だよ。アスカもいつか言ってたじゃないか。」

やがて、シンジの部屋のベットに寝かされる。

「いやー ん…」

叫ぼうとしたが、すぐにまたシンジの唇でふさがれる。

「ん・・ぅ・・ぁ・・っ・・」

シンジはキスをしたまま、アスカの服を手馴れた手つきで脱がしていく。

胸があらわになる。

アスカが胸を隠そうとするが、それより早くシンジの右手がアスカの両手をベットに押し付ける。

「・・はぁ・、綺麗だよアスカ、今までに見た胸の中で1番だよ。」

キスを止めたシンジはそう言いながら胸に顔を近づけていき、乳首に息を吹きかけてから唇で軽く挟んだ。

「あ、やめて・・・ぅ」

アスカは逃れようともがくがシンジは動じる様子はなく、先端を吸い込み舌でもてあそぶ。

さらにシンジの左手はアスカの股間へと伸びていく。

「そ、そこはだめ!」

シンジの左手はアスカの言葉を無視し下着の上から、何度か割れ目を軽く擦る。

「アスカ、身体に力が入ってるよ。もっとリラックスして。」

「だ、だれがッ!」

吐き捨てるように言うアスカをシンジは微笑ましげな目でみる。

「いつまで、我慢できるかな…」

シンジはそう言うと、今度は左手を下着の中に潜りこませ、茂みの奥に隠れている肉芽を軽く摘む。

「ひっ・・」

左手は皮を押し上げ真珠をだし、指の腹で擦る。

「い、いやぁ・・・」

アスカは左手の指の動きから逃げようと身をよじるが、自然と身体の感覚を追うような腰の動きになってしまう。

アスカの口から吐息が漏れる。

「もう、ベチョベチョだよ。洪水みたいだ。ほら・・」

シンジはわざと音が出るように指を動かす。

「や、やめ・て、はずかし・ぃ・」

アスカは消えそうな声でいう。

「でも、ここは喜んでいるよ」

シンジは指を奥へと沈める。

「そ・・そん・なの・・うそ・・・」

「でも、ここは僕の指を飲みこんでいくよ。まるで好物みたいに…」

「いやぁ、抜い・っひっ!」

シンジは指を曲げ内側をさする。

「感度がいいね。 そろそろ、イカせてあげるよ。」

シンジは両手と唇を使い、アスカの敏感な所を刺激していく。

「っ・・・ウウンンン・ゥ・ア・ィ・ん・・・っっ。」

アスカは快楽の波に溺れていく。

しばらくするとアスカの身体が痙攣し、糸の切れた人形のようにぐったりとなる。

「おもったより、早かったね。まぁ、マスターのお香は特別だからね。」

シンジはそう言うと静かに服を脱ぎ、アスカの下着も脱がしていく。

「・・・・んっ・・」

アスカは先ほどの絶頂の余韻が残っており、抵抗もしない。

「じゃぁ、アスカいくよ・・・」

シンジはアスカの両足を肩に担ぎ、自分のモノを秘所にあてがうとゆっくりと腰を沈めていく。

「痛っ、いや! やめて!!」

自分がなにをされているか理解したアスカは抵抗するが、シンジは構わず腰を沈める。

根元まで入ると、今度は呼吸に合わせて腰を前後させる。

「痛い、やめ・んっ・・・」

シンジはアスカの口を手でふさぐ。

シンジの手に痛みが走るが、腰から背筋を昇ってくる快楽に比べたら微々たるものだった。

シンジは角度を変え何度も膣壁を往復させていると、アスカの息使いが変わってきたことに気付く。

アスカの顔は苦痛に耐えるというより、身体に涌き出る快楽に耐えているように見える。

「ん、あ…ンンン、あん・・な、なんで、こん・なぁにいぃ・のぉ・・」

アスカの口から手を外すと、予想どうり苦痛とはちがう叫びが聞こえてくる。

「・・また・・、イ・ィッちゃう・・」

「・いいよ、イキなよアスカ。」

シンジも冷静を装っているが、限界が近いようだ。

「あっああーー・・・・・ッ!!」

アスカの身体が跳ねる。その瞬間、膣がシンジのモノが絞るとるように締め上げる。

「うっ…」

シンジはアスカの中にどくどくと大量に流し込む。

「あ、暖かい・・・」

アスカは自分の中に広がるシンジの精液を感じていた。

 

しばらく余韻に浸っていたシンジだったが身体を起こし、アスカの顔を見つめる。

「アスカ・・・夜はまだ始まったばかりだよ。」

アスカは自分の中にあるシンジのモノが、また硬くなっていくのを感じた。

 

 

気付くと夜が明けていた。

アスカは隣で寝ているシンジを見ると、おもむろにシンジの首に手をかけ、力を入れていく。

「アスカらしい行動だね、でも利口じゃないな。」

その声と同時にシンジは首からアスカの手を外し、回転してアスカをベット押しつける。

「あんなことしてただで済むと思うの!」

アスカはシンジに組み敷かれてもシンジを睨むが、シンジは平然としている。

「でも、アスカは喜んでいたよ。何度もイってじゃないか。」

「薬のせいよ! あのことはミサトに言うわ。もうあんたは平穏な人生なんて無理よ。」

シンジはアスカが怒鳴るほど、顔に笑みが浮かんでくる。

「ふふ、僕がどうして、この部屋でアスカを抱いたと思う。リビングの明るい所の方が僕の好みだったのに・・」

アスカの心に不安が広がる。

「どういうことよ?」

「あそこを見てごらん。」

アスカはシンジの指さしたところを見る。

「!?」

机の上にレンズのついた機械がある。

「そう、カメラだよ。昨夜のことを全部記録してるよ。」

「あんた、ま、まさか・・・」

「そのまさかだよ。こっちの学校のネットだけに流しても面白くないから、アスカが居た大学にも流す準備は出来てるんだ。もちろん、ネルフ本部とドイツ支部にもね。」

「そ、そんな・・」

アスカは自分の顔が青ざめていくのがわかった。

「わかっていると思うけど、もし僕が捕まってもネットに流れたデータは回収不可能だよ。10年経ってもネットに流れると思うよ。何たって世界のエリートパイロットのAVだからね。」

「ひ、卑怯よ。」

「昨日も言ってじゃないか、大切なのは結果だって。」

シンジは笑みを浮かべながらアスカの頬を撫でる。

(もう、シンジの言うことを聞くしかないのね…)

アスカはもうシンジから逃げれないことに気付く。

「アスカ、泣いてないで学校に行く仕度をしようよ。」

いつものシンジの声が聞こえるが、シンジの顔は涙で見えなかった。

 

 

―昼休み―

「どうしたの? なんか変よ今日のアスカ。」

「えっ、な、なんでもないのよ。ヒカリ。」

「そうには、見えないけど・・・・」

ヒカリの顔の向こうにシンジとケンスケが話しているのが見えた。

(やっぱり、あのカメラは相田のだったんだ・・・)

「ところで碇、あのカメラでなに撮ったんだ?」

ビクッ

聞こえてくる二人の会話がアスカの心を揺さぶる。

「ああ、前から欲しかった楽器が手に入ってね。その演奏の記録を撮ってるんだ。」

「へー前にチェロをやってるって聞いたけど、自分の演奏の記録なんか撮って面白いか?」

「うん、特に調弦をしていい音を出すようにして、さらに僕のテクニックで綺麗な音が奏でるのを客観的に観るのは楽しいよ。」

ヒカリがアスカの顔をマジマジとみる。

「アスカ、顔が赤いわよ。風邪?」

「え、う、うん 風邪気味なの。」

心の中でアスカはヒカリに勘違いに感謝し、これを機に二人の会話を聞かないように、ヒカリに意識を向けようとするが次のセリフにシンジを見てしまう。

「そうだ。今日は前の演奏の記録を見ながら、楽器を弾こう。きっといい音を出してくれる。」

シンジはケンスケに顔を向けていたが、視線はケンスケの肩越しに見えるアスカに向けていた。

シンジと目があった瞬間、アスカは熱い何かが背筋を駆け上りるのを感じた。