『便器』



WRITTEN BY ふじわたり




使徒戦争、そしてサードインパクトでの世界の荒廃は激しかった。
 人々の半分以上がLCLの海に消え、地上に戻ってきた人たちもそんなに多くない。
 特に、権力者達のなかに未帰還者が多かった。
 だから……なのかどうかは知らないけど、世界の治安はひどく悪かった。
 過去の法律は意味を無くし、明文化されない無法の掟だけが世界を覆い尽くしていた。
 なんと、奴隷市場まで出来上がってるぐらいだ。
 幸い僕は、父親譲りの体格のよさを生かし、肉体労働で何とか日々の糧を得ている。
 14歳のころの僕なら、きっと奴隷として売り飛ばされていただろうけどね。

 その日の僕の仕事は、とある飲食店の壁の修理だった。
 治安の悪いこの第三新東京市でも、特にいかがわしい場所にある店で、僕はこれまで一度もそこに行ったことがなかった。
 気乗りはしなかったけど、仕事を選べるほどの余裕もない。
 何人かの仲間と急いで一仕事終えた僕は、少ないながらもその日の日当をもらい、足早に自分のアパートへの道を急いでいた。

「ふ……んぅ……」

 そんな時、ふと、どこからか声が聞こえた。
 見回すと、近くの路地の奥で、男二人に挟まれて妖しく蠢く白い女体が見えた。
 強姦!?と、一瞬思ったけど、そんな荒々しい雰囲気はない。
 よく見ると、『一回5000円』と書き込まれた看板らしきものが、路地の壁に立てかけられているのが見える。
 そして白い女の首には、鑑札の付いた太い首輪。
 それで分かった。
 奴隷制とともに生まれた、最下級の街娼。
 いわゆる、『公衆便所』というやつだ。

「おらっ、雌ブタぁ。気ぃ抜いてんじゃねえぞ。また、犬と姦らされてぇのか?」

 奴隷の髪を掴んで、グイグイと頭を上下させる男。
 言葉からすると、どうやらこの男が、奴隷の飼い主らしい。
 さっきからずっと、奴隷に自分のチンポをしゃぶらせ続けている。
 女が犯されているのを見て興奮するタイプなのかな?

「うう!イクぞ、イクぞ!この精液便所め……うっ……!!」

「ふんん……!?」

 パンパンと、後ろから激しく奴隷の尻に腰を叩き付けていた客が、ぶるぶると尻の肉を震わせて射精した。
 驚いたことに、膣内射精だった。
 普通、いくら『公衆便所』でも、膣内射精はやらせない。
 いろんな病気をうつされる原因になるし、なんと言っても妊娠してしまう。

「ふぃぃ……よかったよ」

「まいどありぃ」

 満足した客は、奴隷の尻なにやら書き込んだ。
 そのあたりで興味を失った僕が帰ろうとしたその時、奴隷の声が聞こえた。

「ご、ご使用ありがとうございました……」

 間違いようもない。
 それは──アスカの声だった。

 僕は驚いて、その奴隷に振り返った。
 手入れが面倒で切られてしまったのか、あの美しい金色の髪は短くなり、目元も毎日の荒淫でやつれ果てている……
 だけど──それは間違いなくアスカだった。
 サードインパクト直前の使徒戦争のさなか、エヴァとシンクロすることが出来なくなり、そのまま廃虚の街で行方不明となったアスカ……
 こんな所にいたなんて……

「どうぞ、お客さん」

「えっ?」

 足を止めて呆然とアスカを見詰めていた僕は、どうやら客だと思われたらしい。

「あ……ぼ、僕は……」

「一回5000円。先払いだからね」

「……」

 少し迷ったけど……僕はさっきもらったばかりの日当から、5枚の紙幣を取り出して、アスカの飼い主に払った。
「出したら終わりだからね。終わったら、そいつのケツに線を一本書き足してくれよ」

「え……?」

 見ると、アスカの尻には、油性マジックで正の字が幾つも書き込まれている。
 どうやら、こうやって一日の客の数を計算しているらしい。
 これによるとアスカの今日の客は、さっきの男で13人目らしい。
 それが多いのか少ないのかは、僕にはよく分からない。

 アスカの白い尻からは、ムッとするような性臭がした。
 膣内に大量に注ぎ込まれた男達の精液と、アスカの汗、そして愛液の臭いだ。
 震える指でアスカの秘裂を広げると、ドロッと白い精液の固まりが落ちてきた。
 さっきの男の精液……だけじゃないんだろうな。
 はみ出した小陰唇の色は紫に近い。
 1年や2年使い込んだぐらいじゃ、ここまで変色しないだろう。
 そんな風にアスカの体を見ているうちに、ふと気がついた。
 四つん這いの体から重く垂れた、大きなアスカの乳房。
 その黒ずんだ乳首からは、白濁色の母乳がにじんでいる。
 よく見れば、下腹部も微かに膨らみかけている。
 アスカは──妊娠しているんだ。
 だから、こんな風に膣内射精をやらせているんだ。
 そう気づいた僕は、もう見ているだけじゃ我慢できなくなり、チャックをおろして、自分のチンポを引き出した。
 ヒクヒクと亀頭が震え、今にも爆発しそうな感じだ。
 興奮している……
 それとも絶望しているのか?
 僕は一気に、アスカの醜いマンコにチンポを突き込んだ。

「ふ……んぅ!!」

 飼い主のチンポで口のふさがっているアスカが、声にならない快楽の声を上げる。

「くっ……!」

 熱い。
 まるで焼けるように熱く、絡みつくような膣内だ。
 おまけに、こんなに変色するほど使い込まれている癖に、締め付けもキツイ。
 それとも、使い込まれているからこそ、締める力が鍛えられたのか?
 アスカは慣れた動きで、激しく淫らに腰を振り立てる。

「ど……どこで見つけたんですか、アス……いやこの女を?」

 僕は、アスカという肉の快楽に溺れながらも、男に尋ねた。

「ああ、コレ?それがね……」

 そして、僕は聞いた。
 数年前、零号機の自爆で出来た廃虚の街で、フラフラと歩いていたアスカを見つけ、その場で犯したこと。
 使徒が襲ってきている間は、ずっと仲間内で輪姦したり売春をさせたりしてたこと。
 サードインパクト後、世界がこんな風になってからは、奴隷にまで身分を落とさせ、正式に『公衆便所』をさせていること。
 この商売を始めてから、何回も妊娠させては堕ろさせていること。
 生でやらせた方が、客の付きがいいからわざとそうしているらしい。
 驚いたのは、この男が、アスカの名前も知らないことだった。

「名前?便器にそんなものあるかよ」


 やがて僕は、腰が熔けそうな快楽のなか、アスカの子宮にむけて、激しく射精した。
 アスカと、どこかの見知らぬ下衆野郎との子どもの眠る子宮に……

「く……ふぅ……」

 数度、ゆっくりと膣内を出し入れして快楽の余韻を楽しむ。
 満ち足りた感覚と、罪を犯した感覚が、等しく僕の中に満ちる。

「毎度ありぃ」

 素っ気ない男のその言葉で、僕は我に帰った。
 そうだった、一度出せばもう終わりなんだ。

「ちょ、ちょっとまって……」

 僕は未だにカチカチのチンポを丸出しにしたみっともない格好のまま、慌てて懐を探った。
 だけど、金はもう幾らもない。

「おい、さっさと尻に書けよ!」

 いつのまにか後ろに並んでいた新たな客が、油性マジックを突きつけて僕を急かす。

「え……ああ」

 僕は流されるまま、あわててマジックを受け取り、アスカの白い尻に正の字の線を一本書き足す。
 そして新たな客は、呆然とする僕を押しのけて、『便器』であるアスカの膣にチンポを突き入れた。

「ん……ふぅ!!」

 アスカは、僕のときと同じように甘い声をあげる。
 そして、僕のときと同じように激しく腰を振り立てる。
 アスカと男の接合部から、粘ついた音が聞こえる。
 僕はその音を聞きながら、ため息をついた。
 路地を出ようとした僕は、ふと思いついてアスカの飼い主に聞いた。

「明日も……ここでやってますか?」




終わり