少女と一緒に過ごしたあの場所を離れるべきではなかった。自分の運命がどうなるかに興味はな
い。少年の頭には、際限のない恥辱に満ちたあの場所に彼女を残してきたことへの後悔があった
今、少女から引き離されていく少年の名は碇シンジ。残された少女の名は惣流・アスカ・ラング
レーという。
車中互いに無言のまま通してきた兵士と少年の間に交わされた、最初の言葉がそれだった。
目隠しは車中で既に外されていたが、久しぶりに空の下に出たせいで、光に慣れていない目が痛
み、少年はよろめいた。
倒れかかる少年を横から、誰かが柔らかく支えた。車の着くのを待っていたのだろう支えた腕の
感触は少年に別れてきた少女を連想させ、まだ目に慣れぬ光の中少年は自分を支えた人物を見た
底には別れてきた少女や自分と年齢に差のない背丈の少女がいた。日に映える褐色の髪。そして
瞳には涙を浮かべている。
「シンジ・・・。」
シンジのことを名前で呼び捨てる少女は、囚われの沿い瞳の少女を除けばただ一人。
「マナ・・・?」
霧島マナ・・・その少女を少年は覚えていた。
・
・
・
彼は、マナから、米軍が自分の身に新たな危害を加えるつもりがないことを聞いた。そしてそれ
を聞くと同時に、囚われたままの少女を救い出すことを決意したが、如何せん身体が動かなかっ
た。静養が必要であると申し渡され、心ならずもベッドに横たわているのだった。張りつめてい
た糸によって支えられていた身体が、安全な場所を得たことで、疲労と消耗を露わにしてしまっ
たようだった。
その間、彼はマナから、彼女が米軍に身を寄せている理由を聞いた。
加持リョウジによって、彼女は、加持の旧知である米国将官の元に庇護された。旧知の頼みとい
うだけでなく、彼女が戦自で諜報活動をしていたという経歴や、加持からもたらされる日本政府
の情報報を、彼らが重宝していたことも、彼女が受け入れられる下地にあったかもしれない。
サードインパクト後、更に彼女の価値は高くなった。彼女は新たに日本政府で勢力を伸ばしてい
る戦時の内情や体質に通じている。それだけでなくエヴァンゲリオンに関する日本政府及び戦自
の虚偽発表を覆すだけの知識を持っていたのはこの国で彼女だけだった。
彼女を保護していた将軍は、彼女の話を受けて、チルドレンを確保し、日本をかつてのように米
国の属領にすることを献策した。資源もない極東の島国ではあっても、そこには十数年蓄積され
たオーバーテクノロジーの粋があり、それを無知蒙昧な政治家や軍人に荒らされることは危険で
すらあったのだ。
ここで、幸いだったのは、日本でチルドレンを捉えた実働部隊の長が、個人的に取引を打診して
きたことだった。この作戦の指揮官でもあるマナの保護者は取引に応じるフリをして、こうして
シンジを保護することに成功したのだった。
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「僕、行かなくちゃ。」
話を聞き終えたシンジは、ベッドの上に身を起こそうとした。
「だめよ、どこに行くって言うの!」
マナはそんなシンジを抱き留める。
「僕が助けられたことに気づいたら、あの男は、きっとアスカに酷いことをする。
アスカは、まだあの男の所にいるんだ。早く助けないと・・・。」
「シンジ一人が行ったって、アスカさんを助けられはしないわ。現にシンジ
は捕まってたんじゃない。」
マナの言葉にシンジは詰まる。だが、そのまま、その言葉を受け入れることはできなかった。
「じゃあ、ここの偉い人に頼んでアスカも助けてもらう。アスカは僕を
助けるつもりで、辛い目にあってるんだ。」
シンジがそう言って起きあがろうとしたとき、ドアをノックする音がした。
「どうぞ」
マナの返事と同時に部屋に入ってきたのは長身の米国人だった。
その人物はシンジの様子を一瞥すると、マナに何事かを尋ねた。それに対し彼女がやはり何事か
を答える。二人は日本語を使わないので、シンジにその内容は分からない。ただ彼を害する様子
がなさそうなのは気配からも分かった。
「シンジ、この人が、あなたが頼もうとしている人よ。」
マナは彼が、ネルフと日本政府の戦時の関わりを確認するために、派遣されてきた米軍の将官だ
と紹介した。シンジはそれを聞くと、その男にすがりつかんばかりにして頼み込んだ。
「お願いです、アスカを、アスカを助けて下さい。彼女が助かるなら
僕は何でもします。何でも言うことを聞きますから、彼女を助けて
下さい!」
シンジの言葉は悲痛だった。彼は谷戸から自分が奴隷としてしか価値がないことを教えこまれて
いた。それ故に、奴隷として懇願した。
マナはシンジノ懇願を将官に通訳し、逆に将官の言葉をシンジに伝えた。
「我々は、君を手に入れるために、あの男と取引をした。もし我々が、それ
を破れば、あの男は容赦なく、セカンドチルドレンを殺すか、再起不能に
するだろう。彼は我々に、そんなことになれば君も死ぬだろうと言った。
今の君の態度を見る限り、あの男の言葉が嘘とは思えない。それとも君は
彼女にもしものことがあっても、私達のために協力してくれるかい?」
「ぼ・・・僕は・・・」
口ごもるシンジに対し、マナの口を通じて男は忠告した。
「報告を総合したところ、セカンドには薬物が投与されているようだ。」
通訳するマナの身体が”びくっ”と震える。戦自時代の経験で、彼女はそれがどのような種類の
”薬物”であるのか見当はついた。
「おそらくは催淫剤V−0号だろう。特定人物の精子を混入するもので、2,3回の
投与で、その人物の精なしでは正気が保てないようになる。」
マナの顔から血の気が引いていた。それは彼女の想像を上回るものだった。一方のシンジは顔色
こそ変わらないが、身体が震えるのを押さえることはできなかった。彼は目の前で彼女が狂わさ
れていく過程を見、あまつさそれに協力までさせられたのだ。
「あの男から、セカンドを奪えば、彼女は正気でいられなくなる。或いは
そのまま、死ぬかもしれない。それでも彼女の救出を望むかね?」
将官の言葉は、彼女を救出することが不可能ではないことを示唆していた。ただし、それには代
償が伴うことを少年に告知しておく必要があるのだ。
「今、あの男を刺激することは、我々だけでなく、君にとっても望ましい結
果にはなるまい。落ち着いて考えてみるのだな。」
「・・・・・」
言葉を失ったシンジを後にして、将官は部屋を出ていった。
・
・
・
「どこへいくの?」
その声に少年はビクリと振り向いた。部屋のカーテンを破って繋いでロープを作り、窓から抜け
出して地上に着いたところで、声をかけられたのだ。
「マナ・・・」
「私、言ったよね?シンジが行った所で、アスカさんは助けられないって。」
「でも、僕はアスカが苦しんでるのを放っておけないんだ。」
「アスカさんのこと、忘れることはできない?」
「ご免・・・。」
確定形の質問の意味をシンジは理解した。囚われた蒼い瞳の少女が自由の身であれば、別の答え
をしたかも知れない。だが今の彼には、その答えしかなかった。
「死んじゃうかも知れないのよ。それでも良いの?」
「アスカをあのままにしてるなら、死んだ方がいい!」
シンジは断言した。少女を助けることができないことは、彼にも分かっていた。できるのは、そ
の苦しみを取り除いてやることだけ。少年のために辱めを受け続ける彼女を救うには、彼女の前
で、死んでみせるしかない。そうすれば彼女も、死によってあの男に与えられる屈辱から逃れる
ことができるだろう。彼女の見えないところにいたのでは、生死のいずれも彼女には伝わらない。
あの男は虚偽を伝えて、少女を弄び続けるに違いない。
「僕は、アスカの側にいるべきだったんだ。」
少年は少女から引き離された時に死ななかった自分を後悔している。更に言えば、彼女と再会し
た時にそうすべきだったのだと思っているのだ。
「分かったわ。じゃあ、私も行く。」
「ダメだよ、そんなの!危ないよ。」
「私より、シンジ一人の方が余程危ないわよ。私はこっちにきてからも訓練受け
続けてたしね。それに私はあそこの構造も知ってるしね。」
「だけど・・・。」
マナの言うとおりだろう。だがシンジの思いは、物理的危害に対する懸念だけではない。自分は
囚われの少女と共に死ぬことも覚悟している。だがこの少女、彼女と比べても遜色ない美少女を
あの下衆な男が目にすれば・・・彼はこれ以上の惨禍を見るのは耐え難かった。
「良い、シンジ?私は二人を死なせたいために、協力するの。そこを勘違いしない
でね。」
マナの言葉でシンジも覚悟を決めた。自分はあの囚われの少女を、救い出したいのだ。それ以外
のことは考えず。そのためにできる限りのことをするしか彼にはないのだ。
重い扉が開く音・・・過酷な時間の始まりを告げる合図。
ベッドの上の少女は、キャミソールとショーツの下着姿だが、それは前日、少年と別れた後、着
替えさせられた格好のまま。前日、車中で腰が抜けそうに成る程犯されてから、男は彼女を抱い
ていない。彼女に再び禁断症状が出るのを待っていたのだ。そして今まさに少女はその拷問が始
まったところだった。
「くっ・・・!」
股間と下腹を両手で押さえていたアスカは、男が入ってきたことに気づいて、身を起こす。気丈
にも男をにらみ付けるが、上気しきった肌は彼女の理性を裏切っている。
「おやおや、こんなにお漏らしして仕方有りませんね。」
ベッドに残る大きな染みは、少女の股間から今も溢れ続けているものによるものだ。男の野卑な
台詞に少女は恥辱に染まった顔を背ける。
男は腰を屈め、グショグショになった少女の下着ごしに彼女の股間を掴む。
「ひっ・・・!」
思わず上げてしまいそうな悲鳴を堪える所に、追い打ちをかけるようにそのままもみあげる。
「あっ・・やめっ・・・うあっ・・・ひゃうっ、ダメっ・・・アアーーッ!」
男は少女の両手を、背中にまとめて手枷で拘束すると、ベッドから引きずり下ろす。
「さあ、狂いたくないでしょう?私のを入れて欲しければ、まず舌で奉仕しなさい。」
床に少女を正座させると、むき出したモノを少女の眼前につきつける。
「ア・・・アイツが無事だって・・・証拠を・み・見せなさいよ。さ、さもなきゃ、
誰が、あんた・・なんかに・・・」
男は、少女が、少年のことを口にするのを予期していた。そうであればこそ、より一層楽しめる
というものだ。
「彼は、あなたを救いにここに向かってるそうですよ。」
「なっ・・・!?」
少女の驚きの中に、混じる僅かな期待の声を、男は聞き逃さなかった。「生かさず殺さず」獲物
を長く楽しむためには絶望を与えてはならない。
「折角、助かったのに、やはり、あなたの身体が恋しいってことですかね。」
「アイツを・・・あっ・・あんたなんかと・・いっ・一緒に・・するんじゃ
ないわよ・・・」
少女の心に再び希望が灯ったのを確認すれば、後は躾の時間だ。
「どうも、彼の姿が見えなくなった途端、奴隷としての立場を忘れてしまった
ようですね。このままでは彼が来たときに、あなたの方が彼を覚えていられ
るか、そっちの方を心配した方が良いのではないですか?」
男に言われるまでもなく、アスカ自身も限界が迫ってくるのを感じている。座ったばかりの床か
ら濡れた下着を通して伝わっていた感触が段々なくなっている。自分の身体のことしか意識でき
なくなりつつあるのだ。
(このままじゃ・・・アイツのことも・・・)
そう思ったとき、アスカは男のモノをくわえていた。
「むっ・・んあっ・・あっ・・・くうっ・・・んっ・はあっ・・・」
責めから解放を望む心からか、舌は男のモノを必至にしゃぶるのだが、秘所の疼きから堪えきれ
ずに吐き出してしまう。
「しっかりしないと、いつまでたってもイかせて貰えませんよ。」
男は、アスカが既に反撃する気力もなくなってることを確認して、更に追い打ちをかけることに
する。
「下のお口を放りっぱなしにしてるのがいけないのですかね。」
(やっと・・・終わる)
膣の中に精を放たれることを期待している自分を、少女はもう恥じてはいなかった・・・という
より恥じてはいられなかった。一刻も早くこの疼きから解放されねば、自分が自分でいられなく
なる。その恐怖の方が遙かに大きかったのだ。最早、彼女が男のモノを望むのは彼女にとって自
然なことになっていた。
しかし、この時、アスカの想像は裏切られた。
「そんな・・・嘘でしょ・・・」
男は自分のモノではなく、シリコン樹脂の男根型をしたバイブレーターを取り上げたのだ。
「お願い・・・アタシもう・・・いやっ・・やめてっ・・・ いや・いや・いやぁぁぁーーーっ!!」
解放を求めてやまない身体を更に追いつめる行為。男は泣きわめく少女の膣に、淫靡に蠢くソレ
を強引に押し込んでいく。
「ダメッ、やめてぇぇっ、いやよっ、いやっ、アアーーーッッ!」
根本まですっぽりと入ったところで、パンティーを元に戻す。
「さあ、これで、集中できるでしょう。」
男はにこやかな笑みを浮かべて再び、モノをアスカの口の中に差し込む。
「ムウッ、ンフッ・・ンン・・ングッ・ングッ・・ムウーーーンッ!」
集中どころか、本当に気が狂ってしまうのではないかと思える程の焦燥感に身をもみながら、少
女は懸命にそれを舐めた。その甲斐あってか、男のモノが徐々に硬さを増してくる。
「よしよし、良くできましたね。それでは入れてあげましょうか。」
(やっと・・・やっと・・・)
ようやく解放されるという安堵感。だがそれも男の次の一言で消し飛んだ。
「さあ入れてあげますから、自分で中のものをどけなさい。」
「そ、そんなっ?!」
アスカの両手は背中の後ろで手枷でくくられている。この格好で膣内のバイブを抜く方法は一つ
しかない。
「早くしないと、折角の苦労が報われませんよ。」
アスカは果てしない屈辱を感じながらも、男の言葉を拒めなかった。
「くっ・・・はあっ・あっ・・クウッ・・ハウッ・・ングッ・・アッ・アアーーッ、
フグッ・・・くくっ・・・あがぁっ・・・」
ストリッパーの曲芸もどきの行為、アスカは身も世もなく、それに専念するしかなかった。だが
性体験すら未熟な少女にそのような真似ができようはずもない。仮にそこまでできたとしても、
パンティーの股布が邪魔で、バイブを出し切ることなどできないのだ。
「仕方ないですね。ではこうしときましょう。」
男はそう言うと、芋虫の様に床に転がっている少女の身体に精液を浴びせかけた。
「いやっ、だめっ、いやぁぁぁぁぁんっ!」
懸命にもがくアスカ、それを手で受けて秘処になすりこまんとするが、哀しいかな、拘束された
ままの手枷は外すことができない。絶望感に泣き崩れる少女に対し、男はその緊張の糸を切らさ
ぬよう、その耳元に口を寄せ、囁く。
「しっかりしなさい。ここで意識を失えば、あなたはもう牝犬。
助けに来た彼を悲しませても良いのですか?」
(そうだ、シンジが、アイツが来てくれるまで、せめて、もう一度アイツの顔を
見るまで・・・)
最早、少女には男の言葉の真贋は関係なかった。彼が来てくれるという想いに縋らなければ、と
ても正気を保っていられそうもない。谷戸は、少女の調教時に少年を立ち会わせ続けたことで、
彼女にこの種の歪んだ希望を植え付けることに成功していた。
「さあ、出しやすいように手伝ってあげましょう。」
男は、アスカを俯せにすると、背中の手枷を外した。そのまま両手を、頭の上に持っていき、
ベッドの脚の向こうで組み直させる、再び手枷をかけ動けないようにすると。腰を持ち上げ、膝
立ちにさせた。尻を尽きだした格好となった少女は、股を開いたまま懸命にバイブを出そうとし
ている。屈辱的な格好であるが、今の少女にはそんなことなど構っていられなかった。
「アフゥッ・・シンジ・・アタシを、助けて・・・お願い・・シンジ、クウッ・・
ウウッ・・・ンフウゥーーッ!」
アスカは淫欲の沼に溺れそうになる理性を必死で支える。目の前に少年がいたら決して口にでき
ない言葉すら出して。或いは自分では口にしているつもりはないのかも知れない。
散々、愛液に濡れた床に転がりまわったせいで、その肢体はヌラヌラと濡れている。男は目の前
で、左右前後に揺れる腰を、しばらく楽しげに眺めていたが、にやりと笑みを浮かべると、その
腰をおもむろにつかまえる。
「ヒッ・・・!?」
本能的な恐怖を覚えて振り返るアスカ。男はそのパンティーの尻の部分を剥き下ろすと、そのま
ま少女のアヌスに剛直を挿しこんだ。
「イギィィーーーッ!やめっ・・やめてぇぇぇーーーっっ!ダメッ、いやぁぁーーー!」
それは、まさに絶叫。だが男は情け容赦なく直腸を抉り上げる。
「アヒィーーッ、ダメッ・・・もう、許して、お願いっ、お願いよーーーっっ!」
「しかし、まだ、前の穴が塞がったままじゃないですか。」
邪魔になっていた、パンティーは下げられたが、後ろの穴に入れられたことで、前の穴も引き締
しまっている。谷戸は腰の動きを一端止めると、半ば外に出かかっていたバイブを再び奥に突っ
込んだ。
「ひゃぁぁぁーーーっ!!」
またしても上がる絶叫。谷戸は、そんな少女に、魔の呪文のような言葉を繰り返しかけながら、
改めて、腰を動かし始める。
「さあ、彼が来るまで、頑張って堪えてみせないとね。彼を悲しませたくないでしょう?」
「クハァッ!シンジッ、シンジィーーッ」
少女は最早、身も世も無く、ひたすら少年の名を呼び続けることで、飛び去りそうになる意識を
押さえるだけだった。
・
・
・
「シンジ・・・ああ・・・シン・・ひあっ・・ああっ・・ダメ・・・シンジぃぃぃ・・・
アハァーーッ!」
男がこの部屋を訪れてから1時間近くになろうとしている。アスカはかろうじて、正気を保って
いる。いや、狂気に陥らないでいるといった方が適当かもしれない。
谷戸の方から見ても、そろそろ限界かと思われたとき、ようやく待っていた者が訪れた。
「アスカを放せっ!」
拳銃を構えた少年少女が部屋の入り口に立っていた。碇シンジと霧島マナである。
谷戸は悠然とアスカの尻からモノを抜くと、そのまま二人に向き直る。
「ようやくお着きですか。」
この期に及んでのその態度に二人はやや気圧された。そして次の言葉が二人の動きに一瞬の硬直
をもたらした。
「霧島マナ・・・また私に抱かれたくなりましたか?」
男の言葉に思わず、マナをみつめるシンジ。少年の視線を感じたマナもまた彼の方を見てしまっ
た。致命的失敗。次の瞬間、谷戸の手の動きと共にシンジの脚が、続いて、体が斜め前に滑った。
仕掛けられていたワイヤーに引っかかったのだ。少年は倒れたまま横滑りになってマナの脚にぶ
つかった。マナもそのまま倒れ、二人の手から離れた拳銃が別々の方向に放り出される。
谷戸は壁にかけてあった鞭を手に取ると、折り重なるように倒れた二人の方へ数歩、歩み寄る。
シンジの上になっていたマナが気づいて、放り出された銃の方に飛びつこうとしたところを鞭が
捉えた。
「キャン!」
一瞬にして、打ち据えられたマナが、よろよろと立ち上がったところを、鞭の連打が襲う。
「キャァッ、痛っ、ハウッ、アッ、イヤッ、アア〜〜ン」
谷戸の鞭さばきで、彼女の身体から服が剥ぎ取られ、更には、むき出された肌にも、鞭が加えら
れる。
「キャウッ!」
男の振り上げるような鞭が股間を一撃し、マナはその場に崩れ落ちた。
「さてと、それでは、こちらの馬鹿な男の子にもお灸を据えときましょうか。」
谷戸は落ちていたマナノ銃を拾うと、意識を失ったままのシンジの耳に銃をつきつける。
「少し、不自由でしょうが、耳の片方ぐらいは良い薬でしょう。」
残虐な笑みとともに男は引き金に指をかけた。
”ズキューーーン”
銃撃音と共に、流れ出た血は谷戸のものだった。背中から胸に抜けた銃弾に「信じられない」と
いった表情をして振り向いた彼の目に、つい先程まで恥辱の沼に喘いでいた少女の姿があった。
いつの間にかベッドの反対側に周りこみ、はじき飛ばされたシンジの拳銃を両手で持って、伏射
の姿勢をとっている。
今でもその身体は、押さえきれない衝動に耐えている筈だ。その証拠に彼女の身体は今なお、汗
みずくで、息もはずみきっている。
「惣流くん、私を殺せば、君も助からないのだぞ。」
「ア・・アタシは、シンジさえ・・助かれば・・・」
「ア、アスカ」
気づいた少年が、少女の姿を見て、呻き声をあげる。その声に少女の注意が切れたとみた男は少
女に飛びかかった。
「アスカァーーーっ!」
少年の叫びと、二つ目の銃声が重なり、鉛の弾は男の眉間を正確に打ち抜いた。
「シンジ、本当に一人で良いの?」
「一人じゃないよ。」
マナの問いに、少年は笑顔で答え、車椅子の上に座る蒼い瞳の少女を見た。丁度、少女の方も、
少年を見ており、少年と視線があうと、キャッ、キャッ、と喜ぶ。その二人の様子を見るのがマ
ナには苦しかった。
目の前には亜熱帯のジャングルが広がっている。ここは、アフリカ中部の小国。アスカが、谷戸
を撃ち殺した後、後からかけつけた中将達によって、3人の少年少女は改めて保護された。
日米政府間に交渉があり、事は表沙汰にならぬまま、決着した。日本政府の罪は問わない代わり
に米政府の出した不利益条件の幾つかを受諾させられた。事態の主犯でありながら、事実隠蔽を
計ろうとした当然の報いだが、その犯罪の元となった数々の技術を提供することで、どうにか国
として存続することだけは許されている。今後は前世紀後半の従属状態に戻り、より無様な姿を
晒していくしかないであろう。
米国の出した条件に、二人のチルドレンの”死亡に至る一連の経緯”に対する超法規的措置の追
認の要求があった。中将は、加持への義理と、二人が中将の養女であるマナを助けた恩に対し、
彼らの生存の事実を大統領にも秘している。ここにチルドレンがいることを知るのは米国人では
マナと中将の他、この地で薬物研究をしている中将と加持の共通の知人及びその部下だけである。
知人以下の現地スタッフは、シンジ達がチルドレンであることすら知らない。
車椅子の上にいる蒼い瞳の少女は、谷戸が脅しをかけていたように”発情した牝犬”になること
はなかった。ただ理性は失われている。あの後も、1日1回はセックスを求めるが、その時シン
ジが抱いてやりさえすれば、後は、こうしてごく自然にシンジになついている。医師の診断では
心理的プロテクトがかかってこのような状況をもたらしたらしい。EVAの搭乗経験などの影響
もあるのかも知れないが、詳しいことは分からない。
はっきりしているのは、かなり高い確率で元には戻らないということだ。彼らは今後、この国で
起きて、食べて、SEXして寝る生活を死ぬまで続けていく。少女が理性を取り戻すことがない
限り。
彼らを最後まで見送って来たのは、褐色の瞳の少女だけだ。彼女の義父にあたる将軍は彼らをこ
こまで送ってきた軽飛行機の操縦席で待っている。
「ご免なさい。役に立たなくて。」
「そんなことないよ。ここまでしてくれたんだし。感謝してる。お養父さんにも
よろしく伝えておいて。」
少年の表情を読むことはマナにはできなかった。淡々とはしているが、その心の内にはどんな想
いが秘められているのか。
「それじゃ、行くね。」
少年は背を向けて、少女の車椅子を押しながら、森の中へ歩いていった。その背中を見ながら褐
色の瞳の少女は思った。彼らの悪夢は終わったわけではない。これからも続いていくのだ。だが
悪夢の中を生き続けた彼らなら、きっと今後も生き続けられるはず。少女はそう信じたかった。
監禁6〜愛のない世界〜「終幕」 FIN.
まずは、拙い作文におつきあいいただいたことを心から感謝します。
ともかくこれで一つ終わりました。
ご督促いただいた方々、遅くなって申し訳ありません。決して仕事が忙しかったとか、テンショ
ンがあがらないとか、そんなことじゃなく、ただひたすら怠けてました<(蹴)
その挙げ句にこの程度なんですが、満足するものができるまで公開しないなんて、大それたこと
は考えたこともないんで、拙い出来は勘弁してやって下さい(謝)
それと、前回から宣言してますが、この作文は「感想不要」です。
・・・といったら恐縮しながら感想下さった方々がいるんで説明させておいて下さい。
私はかなり厚かましい方ですが、自分で出来の悪さが分かってるものに代償を求めるような烏滸
がましい真似したくないんです。
まあ「駄作」などと言いながら。他人様から金まで取る同人作家よりは、良識ある行為(?)だ
と思ってます。下手くそなりのプライドだと思ってやって下さい。